[ゼロから始めるプロジェクトマネジメント] プロジェクトで出てきた要望はぜんぶ記録しよう

[ゼロから始めるプロジェクトマネジメント] プロジェクトで出てきた要望はぜんぶ記録しよう

プロジェクトマネジメント未経験の方も今日から参考にできるTipsをシェア。 ゼロから始めるプロジェクトマネジメントシリーズ第六回です。 プロジェクトを進行する中で出てくる様々な要望。これらはすべて記録するようにしましょう。
Clock Icon2024.04.27

情報システム室の進地@日比谷です。

プロジェクトを進行する中で、ステークホルダ、プロジェクトメンバー、ユーザなどから様々な要望、意見、アイデア、思いつき、etcが挙がってくると思います。その時、それらをもし記録していないのであれば必ず記録するようにしましょう。今回は、すべての要望を記録するメリットと方法についてまとめてみました。

なお、すべての要望を「記録する」のであって必ずしも「対応する」わけではないのでその点はご注意ください。

Record all requests that occur in the project

すべての要望を記録するメリット

すべての要望を記録することの主なメリットは次の通りです。

  1. プロジェクトの進行に影響を与える要望を可視化でき、変更管理を簡易に実現できる
  2. 要望を忘れてしまうことを防げる
  3. 同じ要望を繰り返し聞くことを防げる

プロジェクトの進行に影響を与える要望を可視化でき、変更管理を簡易に実現できる

要望の記録をとることで、どの要望がいつ、誰によって発生したかが明確になります。これにより、プロジェクトの当初の計画にない要件の発生を検知できます。よくある、いつの間にかプロジェクトでやることが増えてしまって。。。というスコープが崩壊する事態を防ぐことができるようになります。

「いつの間にか」ではなく、2024年04月27日のA部長のご要望により発生した追加要件であることが明示されるので、スケジュールや要件の取捨選択の調整も簡単になります(「A部長のご要望をPhase1で対応するとしますと、リリースを1ヶ月延ばす、または要件Bを次フェーズに回すなどが必要になります」)。

要望を忘れてしまうことを防げる

要望の記録がとってあれば、当たり前ですが要望を忘れてしまうことを防げます。これは、要望を発した人の心情的にも大切なことです。要望が対応されないことに怒る人はほとんどいませんが、要望が無視されたり、軽んじられたり、そもそも聞く耳を持たれなかったりすればその限りではありません。

また、要望とは必ずしもプロジェクトに負の影響を与えるものではありません。プロジェクトメンバーが思いもしなかった機転であったり、プロジェクトが最終的に与える価値を飛躍的に増大させるアイデアであったりもするものです。そして、それは後になってわかる時も多いのです。そのため、当初は些細に思える要望でも記録しておく価値があるのです。

同じ要望を繰り返し聞くことを防げる

要望の記録をとり、それを周知していないと、同じ要望が繰り返し貴方のもとを訪れることになります。それは違う人からかもしれませんし、同じ人からかもしれませんが、要望を伝える人、聞く人、双方にとって無駄な時間です。記録をとってあれば、こうしたことは劇的に減らすことができますし、発生したとしてもコミュニケーションを簡略化できます(「はい、こちらに同様のご要望を記録しております」で万事解決)。

記録をとる方法

データベースを一つ用意してください。私のおすすめはNotionですが、ツールはなんでも良いです。そして、データベースの項目には以下を必ず用意してください。また、太字は必須入力にしてください。

  • ID
  • タイトル
  • 概要
  • 詳細
  • 誰からの要望か
  • 記録者
  • 記録日(≒要望が発生した日)
  • ステータス

IDは自動採番で大丈夫です。これがあるとないとでは後々のコミュニケーションコストに大きな差が出てしまうので気をつけてください。1 ステータスも「起票」、「採用」、「次フェーズ再検討」、「取り下げ」ぐらいの簡易なもので大丈夫です。こちらも完璧を期して記録がおろそかになるよりは、多少不便でも簡易に記録できるようにすることを優先してください。

要望しているのは誰か、記録者(=要望を聞いた人)が誰か、いつ発生したのか、そしてステータスはどうなっているのか。これらを記入することで、プロジェクトチームが要望を受け止めたことがしっかりと関係者に伝わるようになり、先に挙げたメリットを享受できるようになります。

余裕があれば、この要望を実現するのにかかる見積ポイントなども記入できると良いですが、余裕があるプロジェクトは地球上に存在しないので無理しないでOKです

データベースを用意したらあとは徹底して記録するだけです。

なるべく要望を聞いたその時に、その要望を発した人の目の前で記録するぐらいが一番良いですが、次点でその日中の記録、最悪でもその週以内に記録するような運用をしてください。

なお、プロジェクトメンバーが要望を聞いていて、PMがそれを検知するのが遅れることもあるかと思います。その際は当該メンバーに丁寧にヒアリングして記録してください。プロジェクト規模によっては、メンバーにも周知して記録してもらう運用にした方が良い場合もあるかと思いますが、なるべくPMが記録していった方が良いと私は考えています。そうすることで、粒度の統一や重複防止がしやすくなりますし、自然とPMである貴方に情報が集まっていく流れを作ることもできるからです。

すべての要望を記録する意味

人から信頼され、応援されるための方法は色々ありますが、その中でも強力なのは相手の話を丁寧に聞くことです。すべての要望を記録し、関係者全員が参照できる場所におくことは、まさに相手の話を丁寧に聞かなくては行えないことです。ですので、すべての要望を記録しようと臨むあなたの姿勢は自然と相手に敬意をもって接することにつながります。

先に述べた通り、テクニック面でのメリットも大きいのですが、実はより大切なのはこうした信頼に与える影響の方なのかもしれません。プロジェクトメンバーが顧客やユーザから信頼され、応援されなければ、さまざまな調整や交渉は困難を極めるようになりますし、その次のプロジェクトにも決してつながらないのですから。


  1. IDがあれば、「No-023の状況連絡ってどうなっている?」のようなコミュニケーションが簡単にできますよね。 

この記事をシェアする

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.